科博オープンラボレポート

年に一度の[イベント]新宿分館 オープンラボ「博物館の裏側」(2010, 国立科学博物館新宿分館)に行ってきました。
実を言うと上野本館と併せて国立科学博物館に行くのは3週間連続だったりします。
画像を一部載せます。軽めのグロ画像があるので注意。


新大久保駅から徒歩10分程の所に国立科学博物館の新宿分館があります。
来ている人は小中学生親子連れが半分ぐらい。1/4が若者グループ。1/4がおじさまおばさまグループという感じで、行列ができるほど沢山の人がいました。
建物の写真とかいろいろ風景を撮るのを忘れてしまいました。
右は一つだけ撮った風景写真。道ばたにキリンの胎児がぽんと置いてあるようなそういう空間。

最初に見たのは人骨標本達。縄文時代や江戸時代など。下は研究者の方の印象に残ったお話

「現代は医学が進歩しているので、生まれつき骨格が弱かったりしても生きることができる為昔に比べ多様化している。例えば、将来はみんな顎が細くなるとか言う人がいるがあれは間違いだと思う」

ちなみに2枚目写真のガラスに反射している後ろ姿は嫁。

続いて昆虫標本保管庫。
第一発見者の名前が学名になるのがどういったプロセスで行われるかという話がおもしろかった。

  • 自分で自分が発見した昆虫に自分の名前をつけたりは普通しない。
  • 昆虫を発見したら、知り合いの研究者にその分類の調査を依頼して、その人が論文の中で第一発見者の名前をつけたりつけなかったりするという感じらしい。名前をつけてほしかったら、後輩とか名前を使ってくれそうな人にわざと依頼したりするらしい。

説明をしてくださった「友国」先生の名がついた昆虫もいるらしい。

鳥類標本はあまりに混んでたので見学できなかった。
それからナウマン象の標本も見たけど写真撮るのを忘れた。先生がものすごい楽しそうにナウマン象の歯について説明していた。
続いて動物骨格標本大哺乳類展に出張中でスター不在。写真はバク。

続いて魚類の標本。嫁が一番ウキウキしていたコーナー。
写真はチョウチンアンコウリュウグウノツカイと何か。これらは直接触れる事が可能だった。子供とリュウグウノツカイのツーショットはお父様方に大人気。
チョウチンモグラアンコウのアルコール漬け標本を取り出して満面の笑みで持ち上げる担当のお姉さんが印象的だった。

ぼやけてしまったけど、体が透明な魚。他にもとにかく多数の魚。

続いて工学系のコーナー。私が一番ウキウキしたコーナー。月の隕石の展示や計算機・時計・双眼鏡などを解体したものが展示してあった。
写真はタイガー計算機の外装を外したもの。動いている所を直接見ることができた。右が一番重要な機構のアップ。ドラムの各列のレバーを動かすと、数字の分だけ歯が飛び出る。
そしてドラムを回転させると、その歯の本数分だけ上に写ってる数字のついたドラムが回転する(つまり加減算ができる)という非常に単純な仕組み。減算の時に結果が負になると、チーンとベルがなるという仕組みも風流。
レンズオタクの嫁はカール・ツァイスの初代双眼鏡に萌えていた様子。

続いて、昆虫や蜘蛛の展示。写真の他にはカブトムシやクワガタ、カミキリムシなどの標本があった。

タランチュラの標本。実は私の父親がタランチュラやコウモリなどを食べたことがあるという人なのだけど、その真相を確かめるため「タランチュラって食べられるんですか?」と聞いてみた。

  • タイでは普通に屋台で売ってる
  • タイの子供はおやつとして生で食う
  • 腹の部分が卵黄のような味

らしい。父の言っていたことは本当だった。
接触ってみることもできたけど、足は硬くて無理そうだった。お腹はプニプニしていて、おいしそうだと思ってしまった。
一番右は裏返しにしたタランチュラ。牙がものすごい。
 
最後に一番楽しみにしていたイルカの解体実演。これは海難事故(だったかな?)で死んでしまったハナゴンドウの子供を標本にする為に行う作業を公開しているだけであり、決してショーの為にわざと解体しているのではないので注意。またこのオープンラボは無料である。

まず、とんでもない悪臭の中お姉さんが胃を切り開きながら内容物について説明をしていた。
イルカの子供ということで胃の中に母乳が入っていると嬉しいということだが、残念ながら入ってなかった模様。
続いて、これまた二人のお姉さんが長さや重さを計量しつつ内蔵の切り分け作業を行っていた。様々な臓器がずらっとならんでいましたが、さすがにここの画像は掲載を控えます。
女の子のイルカらしく、私たちが行ったときはちょうど卵巣の切り分け作業をしていた。
内臓はすべて触る事ができ、周りの人が心臓などをつんつん突っついているなか嫁が突然むんずと腸を持ち上げた。後ろのおじさんがギョッとしていた。旦那として格好悪いので私も持ち上げた。

そして、最後にイルカの骨などの切り出し作業の見学。
右の写真はイルカの鼻の穴をほじくる先生。中に大きな空洞と弁のような物があり、ここで超音波を発生させているということだった。
私は何故ほ乳類が授乳を行うようになったかについて先生と少し話した。カモノハシが乳首からではなく、皮膚から乳をしみ出させるようにもともとは汗のような物だったとか。
頭部の解体作業が始まったところで、時間切れとなってしまった。もう少し見ていたかった。

このイルカの解体を行っていた倉庫には無造作に鯨の脳液とか脳味噌とかの樽(中は見えない)が積んであって非常に不思議な空間だった。

感想

こういう一般公開はどこの研究施設も行うし好きでよく行くんだけど、今回のオープンラボはとても楽しかった。
生物標本・骨格標本・化石標本などは難しい事が分からなくても見ているだけで楽しいということがまずある。特に昆虫標本と骨格標本は美しいと思った。
さらに驚くほど沢山の標本に直接触る事ができた。勾玉作りや化石発掘体験といったイベントなども工夫が凝らされていた。
そして研究員の方々も非常に楽しそうに解説をなさっていた。

何というか東京の子供はうらやましいと思った。自分も子供の頃はなんども田舎の科学館や動物園・植物園などに連れて行ってもらったが、今日ほど生々しい体験はなかったと思う。来年もまた行きたいと思わせるイベントだった。